くちびるに歌を
2015年2月28日-132分-ドラマ/青春 Yahoo!映画
監督 三木孝浩
キャスト
柏木ユリ 新垣結衣
松山ハルコ 木村文乃
塚本哲男 桐谷健太
仲村ナズナ 恒松祐里
桑原サトル 下田翔大
関谷チナツ 葵わかな
辻エリ 柴田杏花
長谷川コトミ 山口まゆ
向井ケイスケ 佐野勇斗
仲村静流 石田ひかり
桑原照子 木村多江
解説・あらすじ
シンガー・ソングライター、アンジェラ・アキの名曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を
題材にしたテレビドキュメントから着想を得た中田永一の小説を実写化。
輝かしい才能を持つピアニストだった臨時教員の女性が、生まれ故郷の中学校の合唱部顧問として赴任。
生徒たちと心を通わせていき、同時に本人の傷ついた心の成長を描いていきます。
新垣結衣がヒロインを演じ、その脇を木村文乃、桐谷健太ら実力派俳優が勤めます。
産休を取ることになった音楽教師ハルコ(木村文乃)の代理として、親友の柏木ユリが呼ばれます。
生まれ故郷の五島列島にある中学の臨時教師となった柏木(新垣結衣)。
天才ピアニストとして活躍していた美女ですが、その性格はがさつで乗り回す車はボロいトラックです。
住民たちの注目を浴びる中、彼女はコンクール出場を目指す合唱部の顧問になります。
部員たちは顧問のピアノ伴奏を期待しましたが、演奏を断わります。
そして部員たちに、課題として15年後の自分に宛てた手紙を書かせます。
課題を提出したのは一人の男子部員のみでした。
この部員のつづった手紙から、彼の抱える苦悩や秘密が浮き上がってきます。
当初、ピアノを弾かないことを条件に顧問を引き受けていました。
心に傷を負った彼女は、誰にも相談する事無く、一人殻に閉じこもっています。
合唱部の顧問としての指導も何処か投げやりです。
その内、部員のサトルとナズナが家族問題と懸命に取り組んでいる姿を見て、
少し続つ心に変化が。
そして部員たちは、産休中の教師ハルコから、彼女はピアノを弾かないんではなく
弾けなくなっているのではと聞かされます。
彼女のリサイタル直前に、結婚を誓い合っていた恋人が、本人のリサイタルに向かう途中で事故に逢い亡くなったと聞かされ、それからピアノを弾かなくなったと。
ピアノに対して心を閉ざしていたユリは、生徒達と接する事で少し続つ心が開いていきます。
一人ピアノと向き合っているユリを見かけた生徒がピアノの鍵盤を叩き
昔母から教わりました。
この2回の長い音は船の出発の合図。前進、前進よと言って少女は駆け出して行きます。
一人取り残されたユリは、怖がりながら何とか一音をはじく事が出来ます。
それから自然にピアノを弾き始め、ユリの心が開き始めました。
顧問と生徒たちの心が一つにまとまり、合唱部の練習に熱が入り出しました。
合唱コンクールの直前、一人の生徒が逃げ出しそうになります。
逃げるな
あなた達は今戦う時でしょう
ハルコは今出産で戦っている。あなた達も今戦いなさい。
誰も救ってくれない。それを教えたのは貴女でしょう。
私もこれから逃げない。 と言います。
それからすぐに彼らのコンクールの出番がやってきます。
顧問の先生の難産に意気消沈している皆に、一人の男子生徒が云います。
僕達の姿を、出産と戦っている先生に届けようと。
皆の意思が統一されました。
彼らは、一生懸命歌い、男性教師が画像と歌声を、出産と戦っている
心臓の強くない先生に送ります。
彼らの合唱発表後、先生が無事出産の終わった事を知らされ皆喜びに浸ります。
コンクールは入賞はしましたが、優勝は出来ませんでした。
会場を出てホールに集まった全員に最後の感動が待っています。
この作品、無理にてらった処が無く物語は淡々と進んでいきます。
進む中で、人の難題にぶつかった時の解決法などがサラッと描かれ、それが感動を呼びます。
主人公達の想いが結実した合唱大会での合唱が感動的で
舞台である五島列島の美しい自然に心を癒されます
この映画は何度視ても初心に帰った感動を味わう事の出来る映画でした。
終盤で主人公が叫ぶ
“逃げるな”という言葉は、
合唱部の練習場に掲示してある、
“勇気を失うな、くちびるに歌を持て、心に太陽を持て”
の格言がこの映画の描きたかった事かなと思いました。